社葬についての知識
2023.8.11
社葬を行う方
社葬での喪主と施主の役割の違いを知りたい方
社葬を行う際の会場選びのポイントを知りたい方
社葬とは
通常の葬儀とは異なり、個人ではなく企業が主催する葬儀のことを指します。近年では中継で全社員が参列する社葬や、宗教儀式を行わないセレモニー形式のものなども行われるようになりました。
社葬は、故人の冥福を祈るだけでなく、その功績を称えるために執り行われる場合もあります。創業者や社長、会長など、会社の創業から設立、発展に大きく貢献した故人を偲び、その功績を讃え、感謝とともに弔意を示す場として、社葬が執り行われます。
また、故人の偉業や尽力を称え、その存在が企業に与えた影響と重要性を深く認識する機会でもあります。参列者は、故人の功績を心に刻みつつ、感謝の気持ちを持ちながら、故人のご冥福をお祈りする場です。
もしもの時に適切な対応が取れるよう、社葬について詳しく解説していきます。
〜どのような人を弔うのか〜
企業を挙げて故人を弔う「社葬」は、故人が会社において残した功績を讃える重要な意味を持っています。このような観点から、以下のような人物が社葬の対象となります。
【企業の創業者】
創業者、会長、社長、副社長、執行役員など、企業のトップにいた人物の社葬は、多くの会社で行われます。また、過去にそのような役職に就いていた人物も社葬の対象とされます。これは、彼らが企業の発展において重要な役割を果たし、会社にとって大きな影響を与えたことを称えるためです。
【企業の発展に貢献した社員】
一般社員の中でも、特に目覚ましい功績を挙げたり、会社の発展に大きく貢献した人物は、社葬の対象となることがあります。社葬は、卓越した業績やその人物の存在が企業に与えた価値を讃える機会であり、その功績を称えるために行われます。
【業務中の事故などによる殉職者】
業務中に従業員が亡くなった場合、その方がいわゆる殉職者として扱われ、社葬が執り行われることがあります。
遺族に対して会社全体として、事故や事件が防げなかったことへの謝罪の意を示すためです。また、遺族への社会保障を提供することも重要な意味を持っています。
〜社葬での喪主と施主について〜
[喪主]
葬儀を執り行う責任者。故人様に代わり参列者を迎える遺族の代表者。
[施主]
葬儀費用を負担する人。経済的サポートを担う。
この喪主と施主について、社葬ではどのような意味を持つのでしょうか。
【社葬での施主】
社葬では、会社が葬儀の費用を負担し、その運営に責任を持つ役割を担います。そのため、社葬においては会社が施主としての役割を果たすこととなります。
通常の一般的な葬儀では、「施主」という名称で挨拶をしたり、供物を贈ることがありますが、社葬においては「施主」という言葉が明確に使用されることはあまりありません。
社葬では、会社が内部的に葬儀の計画や運営を行い、故人とそのご家族に対する敬意と支援を示すために尽力します。
施主としての役割を果たすために、「葬儀委員長」という代表責任者を立てる事があります。
葬儀委員長は、葬儀の代表的な責任者として、会社の代表者が務めることが多いです。たとえば、会長が亡くなった場合には社長が、社長が亡くなった場合には次期社長が葬儀委員長として任命されることが一般的です。
ただし、会社によっては、それぞれの規定や体制に基づいて、葬儀委員長の役割や選任方法が定められている場合もあります。
ただし、親族全員が役員となっている家族経営の会社の場合、特に葬儀委員長を指名せずに、喪主の役割のみを設けることや、社会的地位のある外部の方に依頼する場合があります。
社葬においては、葬儀委員長の指導のもと、あらゆる運営が進められます。葬儀委員長は、葬儀の計画や組織、執行に関する責任を担い、適切な進行と調整を行います。彼らは葬儀の成功と故人への敬意を追求するため、周囲の関係者と連携し、適切な準備と手配を行います。
【社葬での喪主】
社葬を行う場合でも、遺族の代表者が喪主を務めることが一般的です。
社葬では、故人の配偶者や長男などが通常の葬儀と同様に喪主の役割を担うことが一般的です。そのため、社葬を実施する際には、遺族の同意が必要であり、遺族の協力がなければ社葬を行うことはできません。
ただし、家族経営の会社の場合など、特に葬儀委員長を指定せずに喪主のみを選出する場合もあります。
〜社葬の一種である合同葬とは〜
合同葬とは、複数の会社や団体などが共同で葬儀の運営および費用負担を行う形式の葬儀のことです。
この場合、葬儀は「〇〇会社 ▲▲会社 合同葬」というように名付けられ、実施されます。また、会社同士に限らず、喪家と会社が協力して行うケースでは「〇〇家 〇〇会社 合同葬」という形式もあります。
合同葬では、特別な事情がない限り、遺族が喪主を務めることが一般的であり、施主としての役割は主に会社が担当することが多くなっています。
葬儀の全体的な内容は、葬儀実行委員長が決定します。葬儀委員長は社葬における最高責任者であり、喪主よりも先に焼香を捧げたり、参列者に挨拶を述べる立場になります。
社葬や合同葬の場合、葬儀実行委員長の役割を果たすのは、通常、会社の代表者などです。
社葬や合同葬を行う目的は、故人を追悼するだけでなく、社外の人々に対して故人が生前にお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えることや、故人がその会社に残した功績を称えるために行われます。
もし故人が創業者や会長などの地位にあった場合、社葬は彼らの遺志を引き継ぐための重要なイベントとなります。同時に、後継者は関係者に対して事業の継承と新たな体制の導入を伝える機会でもあります。社葬を円滑に執り行うことは、将来の会社運営が堅実であることを示す重要な要素となります。
〜お別れ会との違い〜
「お別れ会」は、社葬という別称で使われることもありますが、内容的には社葬と大きな違いはありません。ただし、「お別れの会」という呼称を用いる場合、社葬よりもややくだけた形式で行われる傾向があり、故人の功績を称えることに焦点が当てられることが多いです。
例えば、ホテルでの立食パーティー形式や、故人の功績をまとめた映像を流すなど、比較的自由度の高い形式や演出が頻繁に採用されています。これらのアプローチにより、参加者が自由に移動し交流を深めることができ、故人の功績を感じる場面を共有することも可能です。また、故人への感謝や敬意を表すために、映像やスピーチを通じてその人生や業績を特別に讃えることが行われます。
〜社葬を行う会場の選び方〜
社葬を行う上で非常に重要なのは、参列者の人数予測と会場の手配です。通常の個人葬では、参列者は数人から最大でも200人程度で収まることが一般的です。しかし、多くの社員や企業関係者が参列する社葬では、数百人から数千人規模になることも珍しくありません。そのため、予測される参列者の数に応じて、それに見合った規模の社葬会場を選定し手配することが必要です。
社葬は通常、密葬(家族葬)からおおよそ1~2か月後に行われることが多いですが、この時期には希望する会場が利用可能でない可能性もあります。
また、参列者の人数が会場の収容能力を超えてしまうと、参列者の導線や待機場所、返礼品や料理、駐車場などにおいて混乱が生じる可能性があります。そのため、参列者数に合わせた適切な会場の選択が非常に重要です。
〜選び方のポイント〜
1.会場の利用料金については、一般的に会場の規模が大きくなるほど利用料金も高くなる傾向があります。
2.交通の利便性も重要な要素です。参列者にとって、駅からの距離やバス停とのアクセス、幹線道路からの近さなど、交通の利便性が良いかどうかは考慮すべきポイントです。特に多くの関係者が訪れる社葬では、公共交通機関が利用できる会場を選ぶことが望ましいです。
3.駐車場の大きさも重要な要素です。車を利用する参列者が多いと予想される場合には、充分な台数を収容できる駐車場の確保が必要です。
4.もしホテルを利用したい場合は、事前に遺体や遺骨の持ち込みが可能かどうかを確認しておくことが重要です。一部のホテルでは遺体や遺骨の持ち込みが禁止されている場合がありますので、特に遺体の持ち込みに関しては注意が必要です。
〜まとめ〜
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
社葬は企業関係者を弔うお葬式
もしもの時に適切な対応がとれるようにしましょう
また、故人や遺族に対するだけでなく、会社の将来の方向性を示す重要な場です。社葬の執り行いは社内外に対して、会社としてのビジョンや価値観を示す意味も持ちます。
早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。