葬儀で受付を頼まれたら覚えておきたい知識や流れ
葬儀の受付は、ご遺族の代理とも言える重要な役割を担っております。具体的にどのような業務をするのか、一般的な内容と流れをしっかりと覚えておくことが大切です。
今回は、葬儀の受付を担当する際に必要な手順や心構えについて、詳しくご説明いたします。この記事を参考にして、葬儀の受付を任された時には、頼りになる存在となるために、必要な知識を習得しておきましょう。
受付マナーを知りたい方
受付でやることを知りたい方
受付の依頼を誰にするか悩んでいる方
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〜葬儀の受付の役割〜
葬儀の受付業務は、基本的には葬儀に出席する弔問客への対応が主な役割となります。
具体的には、弔問客の方々の名前を記帳してもらい、香典を受け取ることが主な業務となりますが、葬儀の受付は葬儀全体の窓口として位置づけられます。そのため、葬儀の進行や儀式の内容についてもしっかりと理解しておくことが必要で適切な対応が求められます。
また、大規模な葬儀の場合、参列者の案内や会場への誘導、会葬礼状や返礼品のお渡し、葬儀の進行や時間に関する問い合わせへの対応など、様々な業務を担当することになります。このような役割によって、葬儀の受付は喪主を含むご遺族とは異なる立場でありながら、葬儀全体の運営を取り仕切る重要な役割となるのです。
〜受付の流れとやり方〜
葬儀の受付係は、単なる受付作業員ではなく、むしろ遺族側の代表として参列者と初めて接する存在です。そのため、適切なマナーや手順を把握し、礼儀正しい対応を心がけることが重要です。受付業務では香典や返礼品の取り扱いも行います。受付係を任されることは、喪主からの信頼を受けていることの証です。したがって、金銭や物品に関する取り扱いには細心の注意を払いながら行わなければなりません。
【1.準備】
受付業務では、弔問客からさまざまな質問が寄せられることがあります。例えば、トイレの場所や終了時間、タクシーの手配などです。このような質問に迅速に対応するためには、事前に準備をしておく必要があります。会場には時間に余裕をもって到着し、式の進行や会場の配置などを把握しておきます。実際にトイレや親族待合室を確認するなど、細部まで目を配りましょう。
また、弔問客をお迎えする前には、焼香などの儀式を済ませておきます。そして、受付周辺のセッティングを整え、返礼品や記帳用具なども準備します。これらの準備が整ったら、弔問客を待ちます。
【2. 芳名カードを受け取る】
弔問客の情報は喪主にとって非常に重要です。漏れのないように注意を払わなければなりません。そのため、受付時には芳名帳への記帳や芳名カードの受け取りが行われます。
芳名カードを受け取る際には、内容に漏れがないかを確認しましょう。たとえごく親しい方であっても、名前だけでなく住所も正確に記入されているかをチェックします。
芳名帳を使用する場合には、ボールペンや筆ペンなど、異なる種類の筆記具を用意しておくことが重要です。芳名帳は参列者数が予想以上になることもありますので、十分な数を用意しておくことをおすすめします。
【3.挨拶をする】
受付係は遺族の代表として、弔問客に丁寧な挨拶をします。「本日はお忙しい中をお越しいただきまして、誠にありがとうございます。」がいいでしょう。厳粛な場面であるため、穏やかで落ち着いたトーンで話すことが重要です。もし弔問客が喪主の親族である場合は、「この度はお悔やみ申し上げます」と付け加えると良いです。
もちろん、弔問客が自身の知り合いや親族である場合には、軽い会話を交わすことも可能です。ただし、受付作業がスムーズに進むように、会話は短めに切り上げる方が良いでしょう。
【4.香典の受け取り】
弔問客が香典をお持ちになった場合には、「お預かりいたします」とお伝えし、必ず両手で受け取りましょう。そして、ゆっくりと一礼をします。
遺族が香典の受け取りを辞退していたにもかかわらず、弔問客が香典を持参されることもあります。その際には、決して受け取らないようにします。「申し訳ございません。ご遺族(または故人)の意向(故人の場合は遺志)により、香典のお受け取りは辞退しております」と丁寧に説明しましょう。
【5.返礼品のお渡し】
返礼品は、記帳(または芳名カード)と香典の受け取りが完了した後でお渡しします。記帳と香典の順序は前後することもありますので、注意が必要です。特に大規模な葬儀の場合には、返礼品の受け渡しを専任の係りに任せておくとスムーズです。
香典を複数の人で出し合う場合や、出席できなかった方の分も香典を持参する場合もあります。返礼品のお渡しの際には、数が正確であることを確認しましょう。連名での香典の場合は、人数分の返礼品をお渡しすることが基本です。また、団体名での香典の場合は、ひとつの返礼品をお渡しするのが一般的です。間違いがないように注意しましょう。
【6.会場へ案内】
返礼品を渡し終えたら、「会場はあちらです」と声をかけ、弔問客を案内します。高齢の方など、援助が必要な方には入口まで同行します。クロークがある場合は、コートなどを預かり、引換券をお渡しします。
葬儀の開始時刻よりも早く到着した弔問客の場合は、まず受付を済ませ、その後に待合室などにご案内します。会場への入場時間になりましたら、「どうぞ、会場にお入りください」とお知らせいたします。
【7.香典を会計係に渡す】
弔問客が受付を離れた後、香典を会計係にお渡しください。会計係は通常、受付係のすぐ後ろに配置されています。金銭のやり取りが行われるため、会計係と受付係は事前に顔合わせを行う必要があります。
弔問客が列をなしている場合、受付係の手元には香典袋が積み重なることがあります。しかし、香典の盗難を防ぐためにも、香典袋を長時間ため込まず、できるだけ早く会計係にお渡しするように心がけてください。
【弔電や供物の受け取りも受付の仕事】
弔問客の方々だけでなく、弔電や供物・供花のお受け取り対応も、受付時に並行して行っております。
どの方からどのようなものが届いたか記帳し、詳細な情報を残しておくことが重要です。また、会場をご担当いただいている会場係の方や葬儀会社のスタッフなどにも、報告を行います。
〜受付係が会計係も一緒にするのか事前に決めておく〜
葬儀の受付では、通常香典を受け取りますが、香典の内容を受付係が確認するかどうかは、事前に遺族と相談する必要があります。香典の管理方法についてよく話し合う事が大切です。
また、香典を確認した後に袋と中身を別々に管理する場合、遺族の方が現金を入れるための箱や袋を用意し、受付係が現金管理に負担を感じないような工夫をすることも大切です。
〜受付で注意する事〜
【複数人で行うこと】
規模な葬儀でも複数人の受付係が配置されることがあります。受付は「香典」という「お金」を扱う役割を果たすためです。
葬儀会社によって異なる場合もありますが、受付控え室が設けられていることがあります。この受付控え室では、香典や芳名帳の管理も行われます。状況によっては、受付の担当者が受付控え室で香典を開封し、中のお金を数えることもあります。
そして、「○○さんの香典は××円」といった形で記録をしていきます。これにより、ご遺族が後で香典を開封し金額を確認する手間を省くことができます。
香典の袋を開け、中身を確認する作業は、実際に行ってみると意外に時間がかかることがあります。多くの香典が寄せられた場合、全てをご遺族が処理するのは大きな負担となります。
受付係がこの役割を担うことで、ご遺族の負担を軽減することができます。
大規模な葬儀では、香典の額が100万円を超えるケースも珍しくありません。このような場合、一人で香典の保管や管理を担当することは困難であり、さらに疑念を引き起こす可能性もあります。
そのため、必ず複数人での作業を行います。大規模な葬儀では受付のスタッフ数も増えるため、それぞれが明確な役割分担を持ち、協力して業務に取り組むことが重要です。
大規模な葬儀においても、「香典は一切開封せず、そのままご遺族に渡す」というやり方もあります。このような場合でも、必ず複数人で香典を管理し、盗難や窃盗を防止するために細心の注意を払ってください。
【受付担当者は全員同じ対応をする】
葬儀の受付において、問題となるのは「受付の対応が異なることにより、後々に大きな問題が生じる」という事例です。
特に「香典辞退」と「香典返しの数」には注意が必要です。
「香典辞退」は、ご遺族の意向によって異なる対応が取られることがあります。例えば、親族からの場合は受け取るが、他の相手からは断る、または「どうしても」と言われた場合には受け取るなど、葬儀や個々の考え方によって対応が異なる場合があります。ご遺族の意向が最優先されますが、「受付の××さんは香典を受け取っていたが、△△さんは同じケースでも受け取っていなかった」という状況では、大きな問題が生じます。
また、香典は複数人の名義で渡されることもあります。この場合、「○○一同」と書かれている場合は1つの返しで十分であり、「複数人の個人名」が書かれている場合には、個々の人数分の香典返しを渡すという考え方の違いも存在します。
このようなケースでは、「返し方自体」が問題となることは少ないですが、もめ事の原因となる可能性があります。このような事態を避けるためには、受付担当者全員が同じ認識を共有することが重要です。
【受付がいなくなってしまう状況を想定しておく】
受付業務を担当した方が同時に葬儀に参列される場合、受付が無人になる可能性を考慮する必要があります。もしも遅れて到着される方がいらっしゃった場合、受付が無人であることによる混乱を避けるための対策が必要です。
このような場合には、事前に葬儀をお願いする業者と相談しておくことが重要です。受付業務について、どのような対応をすべきか、可能な範囲での対策や代替手段について話し合いましょう。受付が無人となる状況を最小限に抑え、参列者がスムーズに受付を済ませることができるように配慮することが必要です。
〜葬儀終了後の片付けや事務引継ぎも大切〜
受付の業務は葬儀が終わった後もさまざまな仕事があります。
受付ブースの片付けはもちろんのこと、受け取った香典や名刺、芳名帳に記帳していただいた弔問客の情報、また届け物に関しても記録を残します。これらの情報は世話役や喪主など、葬儀を主導する方々に引き継ぐ必要があります。香典や名刺はきちんと整理しましょう。余った会葬礼状や返礼品もまとめて責任者に渡すようにしましょう。
〜まとめ〜
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
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早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。