一日葬のメリット•デメリットを知ってトラブルをさけよう
2023.8.30
近年、葬儀の形が多様化しており、1日葬、家族葬や火葬式などが選択肢として増えています。一日葬は、お通夜を省略し、一日で全ての儀式を済ませることができるため、「費用や負担を抑えたい」というメリットがあります。しかし、一日葬には「お別れの時間が短い」というデメリットや、「お寺からの許可が得られない」という課題もあります。これらの注意点を理解した上で、適切な葬儀スタイルを選ぶことが大切です。
一日葬を知ってトラブルを避けたい方
〜一日葬とは〜
一日葬は、通常の葬儀とは異なり、文字通り1日だけで儀式を執り行う形式を指します。
通常の葬儀では、1日目に通夜、2日目に葬儀・告別式・火葬を行うため、2日間の日程が必要です。
それに対して一日葬は、通夜を省略し、葬儀・告別式・火葬を1日で行います。そのため、葬儀にかかる日数が短くなり、遺族の精神的・費用的な負担が少なく済むメリットがあります。
〜一日葬のメリット〜
一日葬でお通夜を省略することには、葬儀の所要時間が短縮され、遺族や参列者の負担が軽減されるという利点があります。また、結果として費用を削減できるというメリットもあります。他にもどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
【お葬式にかかる時間の削減】
一般的なお葬式では、2日間にわたってお通夜、通夜振る舞い、葬儀・告別式、火葬などが行われ、長時間を要することが一般的です。このような場合、遺族や親族が高齢であればあるほど負担が増えてしまいます。
しかし、一日葬では、葬儀・告別式と火葬を1日で済ませることができるため、お葬式のスケジュールは1日だけで済み、準備の負担も軽減されます。ただし、火葬場が混んでいると1週間から10日かかる場合もある点には注意が必要です。
【通夜を行わないので費用を抑えられる】
一日葬では、通夜が省略されるため、通夜振る舞いにかかる費用が不要になります(地域によって異なりますが)。また、式場使用料も1日分で済むため、通常の2日間に比べて費用が削減されます。
ただし、前日から式場を設営している場合は、2日分の費用となることがあるため、具体的な費用については葬儀社に確認が必要です。
さらに一日葬では、日帰りで参列できるため、遠方から参列する親族の宿泊費が不要になるという利点もあります。
【遺族や参列者の負担が減る】
一日葬は火葬までが1日で完了するため、遠方に住む参列者でも日帰りが可能です。これにより、宿泊費や旅費の負担がなくなるばかりか、泊まる場所を探す手間も省けます。そのため、遺族だけでなく参列者にとっても便利な形式と言えます。
一日葬には、遺族と参列者の双方にとって手間や負担が軽減されるというメリットがあります。
※注意点!
〜一日葬になったから費用が半分になるわけではない〜
二日が一日になったからといって費用は半分にはならないことをご説明します。
一日葬の場合、葬儀社に支払う費用の相場は30万〜50万円で、この費用には搬送、安置、会場料、祭壇・花・棺などの一式、人件費などが含まれていることが一般的です。ただし、この費用に加えて火葬料やお布施、返礼品、食事代などの変動費も別途必要になります。
一日葬は、費用や手間を少しでも抑えたいという方に選ばれる葬儀として述べましたが、一日葬でも会場使用料は二日分かかるケースもあるため、単純に費用が半分になるわけではありません。また、返礼品費や火葬料は葬儀日数によって変わらないことから、費用面での大幅な抑えが期待できるとは限らない。
〜一日葬のデメリット〜
一日葬はさまざまな負担を軽減できる一方で、参列できない人が出る可能性や周囲から反対される可能性、また弔問対応が増えるといったデメリットも考慮すべきです。
【菩提寺に必ず相談をする】
菩提寺とは、代々の先祖の墓があり、位牌を祀っている寺のことを指します。
通夜と葬儀では、お経の種類が異なるため、通夜を省略した一日葬を認めない僧侶も少なくありません。
菩提寺の僧侶には、丁寧に事情を説明し、了解を得ることが必要です。遺族が望む形式の葬儀を実現するためには、事前にしっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。
【周囲から反対される】
一日葬は比較的新しい形式であるため、伝統的な形式を重視している人からは理解されにくいというデメリットがあります。日本で一般的な仏教のお葬式では、お通夜と葬儀・告別式をセットで行うことが一般的です。そのため、菩提寺や親族、参列者から反対される可能性があることもあります。一日葬を行う場合、遺族や親族がしっかりと話し合い、納得のいく決定をすることが重要です。そうしないと、後から論争の原因となる可能性もあります。適切な葬儀スタイルを選ぶ際は、家族の意見や希望を尊重しながら、よく考慮することが必要です。
【参列ができない人がいる】
葬儀・告別式が1日で終わるため、故人との別れをゆっくりとする時間が取りにくい点が挙げられます。一日葬は通常、朝や昼間から始まることが多いため、仕事や学校がある人が参列する際にはお別れが難しいことも考えられます。
これに対して、通常の葬儀・告別式では、2日間にわたり行われるため、参列者はどちらか一方の日程に参加することが可能です。
【周囲の理解を得られない】
通夜を省略する一日葬は、比較的新しい葬儀の形式であり、そのため通夜がないことに対して違和感や心理的な抵抗を感じる人もいます。
家族や親族の理解を得ずに一日葬を行うと、後にトラブルの原因となる可能性があります。そこで、菩提寺の時と同様に、事前に丁寧な説明と相談を行うことが重要です。遺族や関係者とのコミュニケーションを大切にし、お互いの意見を尊重しながら適切な葬儀スタイルを選択することが必要です。
【弔問客が増えることがある】
一日葬は通常の葬儀・告別式よりも期間が限られているため、参列できる人も限られることがあります。そのため、亡くなったことを後から知った人が、弔問のために遺族の自宅を訪れたいと希望することも考えられます。
弔問対応は主に遺族が行うため、葬儀・告別式後の負担を考慮すると、一日葬にはデメリットが存在します。葬儀が短期間で終わるため、遺族は急な弔問や対応に追われる可能性があります。
〜一日葬が向いてる人は?〜
一日葬は、時間的な制約がある場合や遺族が多忙な場合に向いています。また、規模の小さい葬儀を希望する方や、亡くなった方がそのようなスタイルを望んでいた場合にも選択されることがあります。ただし、それぞれの状況によって適した葬儀スタイルが異なるので、詳細な相談を葬儀社と行うことが重要です。
〜一日葬と家族葬の違い〜
家族葬は、身近な家族や親族のみを参列者に限定して行われる葬儀です。
一日葬は、通夜の儀式を省略して行われる葬儀形式です。
両者を組み合わせることで、家族葬を一日葬で実施する場合もあります。最近の一日葬プランは、家族のみの参列を想定して設定されていることが多いようです。
どちらの形式を選んでも、葬儀の規模が小さくなり、家族の負担を軽減することができます。
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
事前によく話し合いや準備を行うことが重要です
ただし、葬儀が1日で終わるために、関係者に理解されず反対される可能性があったり、参列できない人による弔問対応が増えるデメリットも存在します。
一日葬は誰にでも適しているわけではないため、費用を抑えたいから、1日で終わらせたいからと軽率に選ばず、事前によく話し合いや準備を行うことが重要です。
故人に寄り添い、納得のいく形で最後のお見送りをするよう心掛けましょう。後悔のない一日葬を実現できると良いですね。
早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。