社葬後の流れ
社葬は、執り行われた後にも行うべきことが多くあります。葬儀委員のメンバーは、社葬後に以下の項目に取り組まなければなりません。
また、葬儀費用や税務上のルールについても把握しておく必要があります。
社葬後やることを知りたい方
社葬に参列する際のマナーを知りたい方
社葬後の流れ
【お礼の挨拶回り】
•社葬が終わった後は、お世話になった方々への挨拶回りが重要です。特に、弔辞をお願いした方々には、可能な限り直接顔を合わせて挨拶をすることが望ましいです。
•遠方にいる方でなければ、企業の代表者が訪問するのが適切なマナーとされています。できるだけ多くの方に感謝の気持ちを伝えるため、代表者がお礼の訪問を行うことが推奨されます。
•供花や弔電を送ってくださった方々には、お礼状を送付することも大切です。
【弔辞や参列者をまとめる】
社葬後は、以下の3つの項目に関する情報をまとめ、報告書として記録しておく必要があります。
•弔辞や弔電に関する情報です。弔辞をお願いした方や弔電をいただいた方の企業名、役職、氏名をリスト化し、保管します。これにより、関係者の情報を正確に記録し、適切に管理することができます。
•参列者に関する情報をまとめます。芳名帳や名刺を参考にして、参列者の名簿を作成します。参列者の氏名や所属先などを記録し、後日の連絡や報告に役立つ資料として保管します。
•香典に関する情報も記録しておく必要があります。香典をいただいた場合、金額、企業名、郵便番号、住所、氏名、電話番号などをまとめ、金額順にリスト化します。これにより、香典の管理や謝辞の送付などが円滑に行われます。
上記の情報をまとめて作成したリストの一部は、喪主へ渡すためにコピーします。ただし、原本は社葬に関する重要な資料となるため、慎重に保管しておく必要があります。
弔辞や参列者、香典に関する情報をまとめて記録し、報告書として保管することで、社葬後の手続きや連絡業務を円滑に進めることができます。
【社葬費用の会計処理を行う】
社葬を行う際には、葬儀費用や税務上のルールについても詳しく理解しておくことが重要です。
まず、費用の負担割合についてです。社葬の場合でも、必ずしも全額の費用を会社が負担するわけではありません。
一般的に、会社ごとに葬儀に関する費用の負担割合が定められています。この割合は、役職や葬儀の規模、行い方などの状況に応じて設定されます。具体的には、会社の規定やガイドラインに基づき、費用の分担や負担上限が決定されます。
国税庁の法人税基本通達によれば、社葬を行うことが社会通念上相当であると認められる場合、社葬にかかる費用は法人税の申告時に損金として計上することができます。
損金計上が許される主な項目は以下の通りです。
[損金として計上できる項目の一例]
1.社葬に必要な用品およびサービスに対する費用:祭壇、棺、遺影、宗教用具、司会進行のための人件費、受付用具、供花、会場利用料、駐車場代など。
2.社葬を前提とした家族葬や一般葬(密葬)に掛かる費用。
3.火葬場利用料。
4.司祭者へのお布施などの支払い。
5.遺体搬送車両、霊柩車、マイクロバスやタクシーなどの車両費用。
6.納骨費用:石材店への支払いや納骨法要の御布施など。
7.お手伝いや運転手などへの心付け(寸志) ※支払いを証明できる記録が必要。
8.社葬の案内状や死亡広告に関する費用(訃報通知)。
9.会葬礼状および会葬御礼品の代金。
10.通夜振舞い、精進落とし、係員の食事など飲食にかかる費用。
11.葬儀式告別式の流れに続いて初七日法要を行う場合の費用。
12.写真やビデオの撮影にかかる費用。
13.葬儀社警備の人件費。
14.手伝った社員の食事代や慰労会費用など
[損金算入できない項目]
逆に損金計上できない主な項目は次の通りです。
1.戒名料:戒名を付けるための費用です。遺族や関係者が希望する戒名を決定し、その命名料や彫刻費などがかかります。
2.香典返しの代金:社葬に参列し香典を贈ってくださった方々へのお礼として、香典返しの代金が必要となります。
3.墓地を借りるための費用:永代使用料や管理料など、墓地を借りるためにかかる費用があります。
4.墓石、仏壇仏具、本位牌などの購入費用:社葬後、故人のために墓石や仏壇仏具、本位牌などを用意する場合、その購入費用がかかります。特に、社葬で使用した白木の位牌ではなく、その後の法要に使用する黒塗りの位牌については、別途購入する必要があります。
5.四十九日や一周忌などの法要に関する費用:社葬後、四十九日や一周忌などの法要が行われる場合、その法要に関連する費用がかかります。飲食の準備や仏事関係の儀式に伴う費用などが含まれます。
これらの費用は、社葬の後に続く手続きや儀式に必要な経費です。遺族や関係者は、これらの費用を適切に予算化し、必要な支出を計画しておくことが重要です。
【いただいた香典に関して】
参列者からいただいた香典については、企業の収益として計上することができます。この場合、香典は「益金」として扱われます。ただし、香典を収益とする場合、香典返しの費用は一般的に福利厚生費(社葬関連費用)として計上することはできません。その代わりに、交際費として処理するのが一般的です。
企業が社葬に関連する経費を適切に計上する際には、収益としての香典を益金として処理し、香典返しの費用を交際費として計上することが一般的な方法です。ただし、具体的な税務上のルールや規制は国や地域によって異なる場合があるため、税務専門家や会計士と相談することをおすすめします。
〜社葬に参列する際のマナー〜
社葬は、会社だけでなく、故人や遺族にとっても非常に重要な場です。したがって、社葬に参列する場合は、失礼のないように注意しましょう。
社葬に参列する際の服装は、男女ともに略礼服と呼ばれる喪服が一般的です。ただし、「お別れ会」といった場合には、案内状に「平服でお越しください」と明記されていることがあります。
そのような場合、男性はダークスーツ、女性は黒や紺など、控えめな色のスーツやワンピースが適切です。アクセサリーを身につける場合は、パールがふさわしい選択とされています。また、各企業や所属する業界の風習や企業文化も考慮しながら、ふさわしい服装を心がけることも重要です。
【香典の費用相場】
社葬における香典の相場は一般的に10,000円から100,000円と言われています。一般の参列者の場合、香典の相場は10,000円から30,000円程度であり、企業の代表者名で香典を贈る場合は30,000円から100,000円程度が一般的です。また、供物や供花を送ることもあります。
【代表や幹部が参列する】
社葬が執り行われる場合、一般的には企業の社長や幹部の方が参列することがマナーとされています。また、故人と同等の役職に就いている方々も参列することがあります。参列が困難な場合でも、代理人を立てることは可能ですが、役職者が参列することが好ましいです。
【参列できない場合は弔電を送る】
企業の代表者や役職者が参列できず、また代理人を立てることも難しい場合には、弔電を送ることが適切です。この場合、弔電の宛名は通常、喪主ではなく葬儀委員長にするのが一般的です。
〜最後に〜
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
社葬は節税の観点から明確なほうしんを立てましょう
そして、社葬に関する費用負担については、節税の観点からも明確な方針を定めておくことが重要です。
社葬に関する規定や制度の整備には、会社の税務担当者や専門家の助言を仰ぐといいでしょう。節税効果を最大限に活用しながら、費用負担の明確化とリスク管理を両立させるために、的確な対策を講じることが大切です。
早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。