家族葬のよくあるトラブル
2023.8.10
家族葬は比較的新しい葬儀の形であり、葬儀内容に明確な定義はありません。だからこそ起こるトラブルも数多くあります。
家族葬を選択される際、親族間での対立が心配されることもあるかと思います。この記事では、家族葬において起こりうる問題とそれに対する対策方法についてご案内いたします。この記事を読むことで、家族葬におけるトラブルの予防策を学ぶことができるでしょう。
家族葬でトラブルを未然に防ぎたい方
家族葬でどんなトラブルがあるか知りたい方
〜家族葬とは〜
家族葬とは、一般的には親族を中心とした小規模の葬儀であると言われています。しかし、家族葬に明確な定義はなく、地域や葬儀会社によって家族葬の内容も変わります。
〜家族葬のトラブル事例〜
1.金銭面のトラブル
2.近所付き合いのトラブル
3.身内同士のトラブル
4. 呼ばなかった人が参列を希望する
5.菩提寺とのトラブル
【金銭面のトラブル】
金銭的なトラブルの一例として、家族葬にかかる費用が予想を上回ることがあります。家族葬は一般葬と比べると規模が小さく、葬儀費用は少なくて済む場合がありますが、参列者数が限られるため香典額が少なくなり、家族の負担が増えることがあるかもしれません。
同様に、予想以上に多くの弔問客が訪れた場合、その接待費用が高額になるケースもあります。
[対策]
葬儀の内容を詳しく理解し、必ず確認することが大切です。広告に「〇〇円で家族葬が可能」と記載がある場合でも、基本的な設備以外の要素、例えば控室や式場料金、祭壇飾りなどは含まれていないことがあります。小規模な家族葬であっても、一般的な葬儀と同じ内容の場合、費用が大幅に削減されるわけではなく、また香典額が少なくなると、実際の負担額が増える可能性もあることを忘れないでください。
【近所付き合いのトラブル】
家族葬は一般的な葬儀とは異なり、故人の家族、親戚、そして親しい友人だけが参列する小規模な儀式です。そのため、近隣の方々からの参列を辞退することがあるのですが、これが原因で家族葬で行うなんて冷たいと近所の人たちに受け取られてしまうこともあります。
また、故人の方と同居していた場合、家族葬を選択することで、その地域での人間関係を難しくする原因になることもあります。
[対策]
対策としては、葬儀のご案内の際に、「家族葬」を選んだ理由を説明することが大切です。故人の遺志や家族の意向による選択、「家族一丸となって決めた」といった背景を共有し、周囲の理解を得ることが良いでしょう。
【身内同士のトラブル】
家族葬は新たな葬儀スタイルとして位置づけられますが、従来の価値観に固執する方との間で価値観の相違によるトラブルの可能性が考えられます。
従来の価値観とは、故人のために多くの人々を招き、格式ある葬儀を行って故人を送るべきだという考え方です。このような価値観に基づく親戚がいる場合、家族葬を選択したことに疑問を持ち、「なぜ意図的に地味な葬儀を選んだのか」といった意見が対立することがあります。
[対策]
家族葬の魅力と内容をしっかり共有し、理解を得ることが重要です。例えば、「家族葬は少人数で、故人に縁のある人たちだけで心ゆくまでお別れできる機会」といったポジティブな面を伝えることで、相手の印象を変えることができます。
もし相手が納得できない場合、葬儀社との話し合いに家族と一緒に参加する方法もあります。専門スタッフから詳細な情報を聞き、疑念や不安を解消するための質問を行うことで、家族葬への同意を得る可能性が高まります。
【呼ばなかった人が参列を希望する】
家族葬は、招待された人のみが参列する葬儀であり、通常は参列者の人数が予測できます。しかしながら、葬儀に招待されていない方が会場に訪れ、参列を希望する場合があります。
故人を偲ぶ気持ちは大変ありがたいことですが、座席や料理、お返しの品などはあらかじめ用意された予定人数に基づいて準備されているので、急な参列者増に対応することが難しく、適切なおもてなしを提供できない可能性があります。
家族葬の魅力の一つは、少人数で行うことからくる対応のシンプルさです。それにもかかわらず、予想外の参列者が現れると、適切な対応が難しくなり、故人との静かな別れが妨げられるかもしれません。
[対策]
予期せぬ参列者の問題は、葬儀の通知方法によって事前に防ぐことができます。一般的に家族葬では、参列をしてほしい方にのみ訃報を伝え、葬儀の案内状を送付します。
地域の中で訃報回覧板が利用可能な場合は、この機会を活用して「葬儀は家族と親近者のみで行われること」を伝えることができます。
葬儀に招待しなかった方々には、葬儀後に死亡通知を送ることで、「既に葬儀が行われたこと」と「後日お知らせすることへの謝罪」を伝えることができます。
予想外の参列があった場合でも、訪れた方々を心のこもった対応で迎え入れましょう。
【菩提寺とのトラブル】
家族葬は一般的な葬儀よりも柔軟性が高いため、お寺のしきたりやルールに合わない内容を選ぶことがあるかもしれません。これが原因で菩提寺との対立を引き起こすことがあります。
また、菩提寺と家族の信仰や宗教観が異なる場合、葬儀の進行や内容に関する意見の不一致が生じる可能性があります。こういったケースでは法要や納骨の拒否にまで発展してしまうこともあります。
[対策]
事前に菩提寺とのコミュニケーションを大切にし、葬儀の進行や内容についての認識を共有することが重要です。
早い段階でお寺に相談することをおすすめします。葬儀の内容がお寺の習慣に合わない場合でも、前もって相談すれば大きな問題にはなりにくいです。具体的な葬儀の希望やアイデアを伝え、「どのように進めればよいか」をお聞きするだけでも良いですし、確認を怠らないようにしましょう。
家族葬の進行方法によっては、親戚や近隣、金銭、そして菩提寺など、さまざまな面でトラブルが発生する可能性があります。しかしながら、これらの問題は適切な対策を取ることで、全て未然に防ぐことができます。故人の意志を尊重し、周囲の人々も納得できるような形でお別れするためには、トラブルの元を事前に解決することが重要です。
〜家族葬のいい所〜
家族葬の魅力は、少人数で行えることにあります。親族、親戚、親しい友人のみが参列し、そのため来客対応に追われず、故人とのお別れにゆとりを持つことができます。また、家族葬は一般葬と比較して、葬儀費用を節約することができるのも利点です。
一般葬と比べて、家族葬は比較的自由度が高い葬儀を実現できます。故人との独特の関係や好みに合わせて、アレンジが可能です。このように、家族葬は選択肢の柔軟性も魅力の一つです。
〜ポイント〜
家族葬において、トラブルの可能性を考慮し、円滑に進行させるためには信頼できる葬儀社の存在が非常に重要です。家族葬に慣れた葬儀社であれば、事前にトラブル対策について説明してくれるだけでなく、万が一トラブルが発生した際にも適切な対応を相談できるでしょう。大切な葬儀の際に後悔しないよう、経験豊富な葬儀社を選ぶことが大切です。
〜最後に〜
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
家族葬のトラブルは連絡不足が大半
多くのトラブルは、連絡不足やコミュニケーションの不備から生じることが多いです。これらの問題を予防するためには、関係者との適切な連絡やコミュニケーションを行い、葬儀の内容を深く理解することが重要です。
早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。