福祉葬とは〜どんな方がするの?
2023.7.28
生活保護を受けている世帯の一員が亡くなり、その葬儀費用を負担することができない場合、自治体からは葬祭扶助(そうさいふじょ)が提供され利用することができます。葬祭扶助の金額は地域差がありますが、平均値は大人が20万円前後、子供が15万円前後の傾向です。
通常の一般的な葬儀の形式ではなく、シンプルな形で行われる直葬や火葬のみの葬儀が主な選択肢となります。葬祭扶助には、検案手続き、ご遺体の搬送、火葬、収骨など、葬儀に必要な費用や手続きが含まれます。
〜福祉葬での葬儀が可能な方〜
生活保護受給者本人の葬儀
喪主さまが生活保護受給者の時(故人と同一所帯の場合)
上記にあてはまる方は福祉葬での葬儀が可能な方となります。
もし亡くなった方に親族がいない、または親族が別居しており葬儀を行う意志がない場合、葬儀は他の方によって執り行われます。
葬祭扶助の支給は、申請者が所在する市町村の役所で手続きを行い、葬儀が終了した後に直接葬儀業社に支払われる仕組みです。申請者自身が負担する必要はなく、直接的な支給もありません。
ただし、葬儀の内容に関しては、各自治体ごとに異なる規定があります。一般的に、(飲食代、お布施、戒名、生花代、香典返し等)といった費用には葬祭扶助は適用されません。これらの費用は、申請者や遺族が別途負担する必要があります。詳しい内容については、お住まいの自治体の規定を確認することが重要です。
受け取った香典などは所得として扱われることはありませんが、収入申告が必要となります。葬祭扶助は、あくまでも各自治体が必要最低限の葬儀費用を負担するのが福祉葬です。
〜福祉葬の手続き〜
【自治体へ連絡】
福祉葬を希望する場合は、まず自治体へ連絡をする必要があります。その際、福祉葬を希望する旨を伝えるようにしてください。連絡先としては、市役所の福祉課や福祉事務所のケースワーカー、または地域の民生委員などにご連絡いただくことをおすすめします。
申請者は、故人の親族や同居人、もしくは身寄りがない場合には後見人などが該当します。なお、申請者(福祉葬を執り行う人)が在住している自治体での申請が必要です。
死亡した方が在住していた自治体とは別の自治体での申請となりますので、ご注意ください。この際に、死亡が証明できるもの(例:死亡診断書)が必要となります。
また、自治体の規定に基づいた申請書類に、死亡した方や申請者の個人情報や経済状況などを記入し、提出する必要があります。詳細な手続きや必要書類については、各自治体の指示に従ってください。
〜必ず葬儀前に申請を〜
福祉葬をご希望される場合は、お葬式(火葬)を行う前に市町村への申請が必要です。ただし、お葬式費用が支給されるかどうかは、担当ケースワーカーの判断によります。
もし、ご自身が福祉葬の適用条件を満たしているかどうかについてお悩みの場合は、事前に市町村にご相談いただくことをおすすめします。ケースワーカーは、適切な判断を行うためのアドバイスや情報提供を行ってくれます。
お葬式費用の申請には時間がかかる場合もあるため、できるだけ早めに申請手続きを進めることが大切です。
【審査】
自治体での審査が行われます。
審査の結果、葬祭扶養が受理されない事もあります 。
•福祉葬の申請は、火葬の前に必ず行う必要があります。火葬を済ませた後に福祉葬の申請を行っても、申請書類は受け付けられません。
•葬儀代を自己負担し、火葬を先に行った後に福祉葬の申請を行う場合がありますが、この場合は「葬儀代を支払えた」と見なされることになります。
•葬儀社については自治体からの指定はありませんので、ご自身で探す必要があります。一部の葬儀社では、自治体への福祉葬申請のサポートを提供してくれる場合もあります。
〜注意点〜
時折、福祉葬の遺族の方から、「追加費用は私たちが負担するので、通常の葬儀にしたい」といった話があります。しかし、経済的に余裕のある遺族の方は、通常の葬儀の対象となり、福祉葬の支援を受けることはできません。
福祉葬の対象となる方は、一般的には本人と家族が生活保護の対象者である場合や、本人が生活保護を受けておりかつ家族がいない場合が該当します。ただし、生活保護を受けていなくても、本人が天涯孤独であり、かつ自身の財産も存在しない場合でも、福祉葬の対象となることがあります。
こうしたケースでは、通常、警察や施設などが役所に連絡をし、福祉葬の手続きが進められることが多いようです。福祉葬は、経済的な支援が必要な方々に対して、負担を軽減するための制度です。
〜福祉葬の流れ〜
福祉葬は火葬のみの葬儀形式であるので1日で完了します。
遺体搬送:
福祉葬を担当する葬儀社が、遺体がある場所(病院や警察など)まで霊柩車などで到着します。遺体は家庭または安置所に移されます。
安置:
火葬が行われるまで、遺体は棺に入れられ、家庭または安置所で保管されます。時には遺体に仏衣などを着せることもあります。
長期間の安置や夏季など、遺体が損傷しないように保護するために、ドライアイスを使用する場合もあります。
出棺:
葬儀社によって、遺体は家庭または安置所から火葬場まで霊柩車などで運ばれます。
火葬:
遺体は火葬され、その後骨壺に収められます。
〜葬儀費用の支払いについて〜
通常、葬儀の費用は福祉事務所から直接葬儀社に支払われます。この場合、葬儀の主催者を介さずに、福祉事務所が直接葬儀社に支払いを行います。
〜福祉葬での服装〜
福祉葬に参列する場合、通常は礼服(喪服)であるブラックスーツがふさわしいとされています。しかし、福祉葬では告別式が行われないので家族やごく少人数で執り行われることが一般的です。そのため、紺やグレーなどの服装でもマナー違反ではないとされています。
参列時には、なるべく地味な服装を選ぶように心がけましょう。
【男性の服装】
男性の場合、福祉葬に参列する際はブラックスーツ、または紺やグレーのダークスーツを選ぶことが一般的です。シャツは白色を選び、ネクタイは黒で無地のものが最適です。光沢のないネクタイを選ぶと良いでしょう。
アクセサリーについては、結婚指輪以外は身に着けない方が良いです。
靴は黒色で、合成皮革または本革の素材を選びます。なるべくシンプルなデザインの靴を選ぶことが望ましいです。
また、靴下も黒色が好ましいです。
【女性の服装】
女性の場合、福祉葬に参列する際は黒のスーツまたはワンピースにジャケットを合わせることが一般的です。また、紺やグレーなどのダークな色合いの服装でも構いません。
アクセサリーについては、ほとんど身に着けないか、シンプルな真珠素材のものを選ぶことが適切です。
靴は黒色の飾りのないパンプスを選びます。素材としては、合成皮革や本革を選ぶことが好ましいです。
【子供の服装】
子供の場合、福祉葬に参列する際には、学校などでの制服が最適な礼服となります。制服がある場合は、その制服を着用することが望ましいです。
制服がない場合は、黒や紺、グレーなどのダークな色合いのズボンやスカートに、白のシャツなど地味な服装を選ぶことを心がけましょう。控えめな色合いやデザインの服装を選ぶことで、適切な服装を表現することができます。
子供の場合は特に、過度な華美さや装飾を避け、控えめな服装で参列することが望ましいです。
〜まとめ〜
生活保護受給者が亡くなり、親族や関係者が葬儀を行うことが困難な場合には、「葬祭扶助制度」の利用申請が役所によって受け付けられます。この制度を利用することで、葬祭費用が支給されます。支給される費用は、通夜や告別式を省き、火葬のみを行う「直葬」と呼ばれる形式の葬儀に充てられます。
福祉葬の申請方法については、まずは自治体に連絡し、審査を受ける必要があります。申請は火葬前に行う必要があるので注意しましょう。葬儀社の選定については、申請者自身で決めます。
自治体により葬祭扶助に関する規定が異なる場合がほとんどですので、まずはお住まいの市区町村役場などに問い合わせてみることをおすすめします。