ご遺体の安置
故人の逝去からお葬式までの期間、遺体を適切に保管することが必要となります。この過程を「安置」と呼びます。
故人の遺体を搬送するまでの時間は限られているので、適切な安置場所を早急に決定することが必要となります。安置場所の選択は、故人の信仰や希望、遺族の意向、予算などを考慮して行われます。
ご遺体を安置する場所について知りたい方
ご遺体を安置する期間について知りたい方
ご遺体を安置する費用について知りたい方
〜ご遺体の安置する場所〜
[自宅]
ご遺体をご自宅で安置する場合には、一般的に仏壇のあるお部屋が使用されます。もし仏壇がない場合は、畳の敷かれた座敷や、故人が生前に使用していた部屋でも問題ありません。
ご遺体を安置する際には、室温の管理が非常に重要です。ご遺体を良好な状態で保つために、エアコンなどを活用して室温を18度以下に保ちましょう。また、ご遺体をスムーズに搬入するために、経路の確保も必要です。
ご遺体を自宅で安置することには、多くのメリットがあります。まず、安置場所のための費用がかからないという点が大きなメリットです。自宅で安置することにより、葬儀費用の節約にもつながります。
また、故人との最期の時間を住み慣れた場所でゆっくりと過ごすことができるため、ご家族にとっても大きな魅力となります。そして、もし病院などご自宅以外で亡くなった場合でも、故人を自宅で休ませてあげたいというご家族の願いをかなえることができます。
自宅でのご遺体安置は、ご家族にとって貴重な時間を過ごすことができる場所となります。
•北枕か西枕にする
もし北枕をすることができない場合は、西に向けて枕を置くことが望ましいです。しかしながら、住居の状況などによってはそれができない場合もあります。その場合には、自然な向きに寝かせても問題ありません。
•守り刀を置く
故人の布団の上には、魔よけとされている守り刀を置く習慣があります。この守り刀は、魔物を追い払い、数珠とともに、故人が死後の世界へ無事に旅立てるようにという意味合いがあります。この守り刀は、葬儀専用の模造品などを使用することが一般的ですが、自宅にある小さなナイフやカミソリなどの刃物を使用することもできます。
•枕飾りを用意する
故人の枕元には、様々なお供え物が置かれますが、その中でも枕元の机やその上に飾る香炉、ろうそく立て、花瓶などの装飾品を総称して「枕飾り」と呼びます。
枕飾りに使用する具体的な品目は、宗教や宗派、地域によって異なるため、不明な場合は葬儀社に確認することをお勧めします。一般的には、香炉やろうそく立て、花瓶などの装飾品を使用し、その他にも故人が好んだお菓子や飲み物、遺影などを置く場合もあります。
[斎場•葬儀場]
最近の住宅事情により、ご自宅での遺体の安置が困難な場合が増えています。また、ご遺族の方々が安置の準備や管理に負担を感じることもあります。そこで、斎場や葬儀社にお任せいただくことで、安心してご遺体を管理していただけると同時に、ご遺族の負担を軽減することができます。このようなメリットを感じて、ご遺族の方々が斎場や葬儀社を選択されることが多くなっています。
安置施設利用の使用料が発生します。葬儀プランに含まれていても、火葬場の混雑状況やその他の要因によって安置期間が延びると、追加料金が発生することがあります。また、施設によっては面会ができない場合があったり、面会時間に制限があったりすることがあります。そのため、故人との最期の時間をゆっくり過ごすことができない場合もあるかもしれません。
[民間の安置施設•遺体ホテル]
遺体の安置と面会だけを行う専用の施設が増えています。このような施設は一般的に「遺体ホテル」と呼ばれています。
民間の施設が注目を集める背景には、住宅事情の変化で自宅安置が難しいことや、火葬場の不足などが挙げられます。葬祭場などでは面会に制限がある場合がありますが、遺体ホテルではそのような制限が少ないため、多くの人々が利用するようになりました。
遺体ホテルは、新しい業態として注目されています。これらの施設は、遺族が遺体を安置するための場所としてだけでなく、葬儀や告別式などを行うための施設としても利用されています。そのため、多様なニーズに対応した施設が増えている傾向があります。
民間の安置所を利用する場合、利用料が必要です。遺体を安置する期間が長くなると、料金が高額になることがありますし、遺体を安置所まで搬送するための費用も別途必要となります。
設備が整っていない施設の場合、長期間遺体を預けることができない場合があるので、遺体を安置する前に、施設の設備や利用料金、遺体の搬送費用などをしっかりと確認することが重要です。
料金や施設の設備状況などをきちんと調べ、十分な情報を得た上で選択することが、後悔のない選択につながります。また、遺体を預ける期間が長くなる場合は、予め施設に確認し、追加料金や長期間の安置に対応しているかどうかを確認することも大切です。
※ 火葬施設を所有していない民間の安置施設の場合、火葬や葬儀を行うためには、別途葬儀社を手配する必要があります。(葬儀手配を行なってくれる民間の安置施設もあります)
葬儀社は、遺体の受け入れや安置、葬儀の計画立案、火葬や埋葬など、様々な業務を行うことができます。また、葬儀に関する相談やアドバイスを提供することもあります。葬儀社によっては、一式の葬儀サービスを提供する場合もあります。
火葬施設を所有しない事業者は、葬儀社との契約によって火葬や葬儀を行うことができます。葬儀社は、自社で所有する火葬施設を利用する場合もありますが、他の業者と提携している場合もあります。そのため、葬儀社を選ぶ際には、施設の設備や場所、サービス内容、料金などを比較検討することが重要です。
〜遺体の安置期間〜
一般的に、遺体を安置する期間は2~3日間とされています。法律によって、死亡が確認された後、最低でも24時間は火葬を行うことができません。そのため、少なくとも24時間は遺体を安置する必要があります。
また、葬儀場や火葬場の混雑状況、友引や火葬場の休日といった理由で、安置期間が長くなることがあります。特に、葬儀や告別式を行うために予約が必要な場合は、安置期間が長くなることが一般的です。
〜自宅安置にかかる費用〜
故人を自宅で安置する場合、施設を利用する場合に比べてかかる費用を抑えることができます。おおまかに2万円から5万円
•ドライアイス1日約1~2万円
•枕飾り約1~3万円
※葬儀社によってはプラン内に含まれるものもあります。金額も葬儀社によって変わります。確認することをおすすめします。
〜斎場•葬儀場にかかる費用〜
自宅安置よりも施設利用料が掛かるため、費用は高くなります。
おおまかに約3万円〜10万円
•施設使用料1日約5千円~3万円
•ドライアイス1日約1万円~2万円
※葬儀社によってはプラン内に含まれるものもあります。金額も葬儀社によって変わります。確認することをおすすめします。
〜民間の安置施設•遺体ホテル〜
施設によって異なります。
おおまかに約3万円〜10万円程度が目安となります。
•施設使用料1日約1万円〜2万円
•ドライアイス1日約1万円~2万円
※施設の規模や設備、利用時間帯などによって異なる場合がありますので、詳細は各施設の案内をご確認ください。
〜まとめ〜
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
適切な場所で適切な方法でご遺体の安置を
かつては、ご遺体をまず自宅で安置することが一般的でしたが、最近では集合住宅が増加し、搬送経路の問題から斎場や安置施設を選ぶご家族が多くなっています。
遺体を適切に管理することで、故人への敬意を表し、遺族の気持ちを尊重することができます。また、遺体を清潔に保つことも重要であり、それを行うことで、遺族や参列者が遺体を見送る際に心理的負担を軽減することができます。適切な場所で適切な方法で安置を行うことが、故人への最後のお別れにふさわしい形となるでしょう。
※ 安置場所によっては、遺体の状態や管理に関する規定が異なる場合がありますので、葬儀社に確認しましょう。
早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。