緊張しがちな方へ。喪主の挨拶の仕方と例文
そのまま使える喪主のあいさつの例文です。使えるところだけツギハギしてください。故人のエピソードは、難しければ省略してかまいません。人前で話すことが苦手な方向けに、失敗しないコツも紹介します。
喪主の挨拶の例文を知りたい
緊張しやすいので不安
失敗しないコツを知りたい
喪主の挨拶の例文
次のような構成が一般的です。
・参列へのお礼
・亡くなったことの報告
・故人を伝えるエピソード(なくてもかまいません)
・結びの言葉
参列へのお礼
例文1
本日はお忙しい中、父、太朗の葬儀にご会葬いただき、誠にありがとうございます。
長女の山田花子でございます。
例文2
遺族を代表しまして、喪主の山田太朗より一言ご挨拶させていただきます。
本日は冷たい風の中、父、二郎の葬儀にご参列くださり、誠にありがとうございました。
また、多くのご弔意を賜りまして厚く御礼申し上げます。
例文3
ご多用中にもかかわらず、父、太朗の葬儀に多数足をお運びいただき、誠にありがとうございます。
私は、次女の花子です。長女の幸恵は現在海外に住んでおり、帰国を間に合わせることが叶いませんでした。遺族を代表して、わたくしがご挨拶させていただきます。
例文4
本日は、父、二郎のためにお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
入院中の母に代わり、長男の太朗がご挨拶させていただきます。
おかげさまで、告別式、葬儀と、つつがなく済ませることができました。
※長い自己紹介は必要ありませんが、故人との関係性がわかるよう自分が誰なのか端的に説明します。本来喪主を務める立場とは違う方が挨拶する場合、誰が誰に代わって挨拶しているのかを述べてもよいでしょう。家族の不仲はもちろんのこと、悲嘆に暮れて話すことができない、病状の悪化など、理由がネガティブな場合は詳しく述べません。
亡くなったことの報告
例文1
父は、去る2023年10月10日、80歳にて、自宅で永眠いたしました。
これまで大きな病気一つしない父だったため、急なことではありましたが、いつものように晩酌を楽しみ、いつものように眠りにつき、これ以上ないほど安らかな最期でした。
例文2
母は、2023年10月10日、60歳で息を引き取りました。最期は孫たちも含め家族15人が病室に集まることができ、皆に見守られながらの穏やかな旅立ちでした。入院していた半年ほどの間、多くの方からの御見舞い、あたたかい励ましの言葉を頂戴し、感謝に堪えません。
例文3
2023年10月10日、父は98歳の高齢をもちまして他界いたしました。まさに大往生と言いましょうか、最期まで自分の足で歩き、自分の歯で食事できることを、父はよく自慢にしておりました。寂しくはありますが、充実した毎日を過ごしながら天命を全うしたことは、家族にとってなによりの慰めです。
※日時、享年を述べます。亡くなった経緯や病名については、明言しなくてかまいません。苦しい最期だった場合、詳しく述べないことが多いです。死という忌み言葉は避け、「急逝、他界、逝去、永眠、眠りにつく、旅立ち、別れ」などと言い換えます。
故人を伝えるエピドード
(なくてもかまいません)
例文1
母は大変ユーモアがある女性で、よく笑う人でした。失敗を笑い飛ばすあの明るさが、いつも家族の中心でした。きっと今も、天上から私たちに微笑みかけていると思います。
例文2
多趣味だった父は、釣りにヨットにゴルフにと、本当に充実した人生を送りました。趣味を通して多くの友人にも恵まれ、おかげさまで本日も多くの方にご参列いただいています。いつも父は、友だちとどこに行った、何をしたと楽しそうに話をしていました。生前くださったみなさまのご交誼に、改めてお礼申し上げます。
例文3
母は、看護師、助産師として定年まで勤め上げました。立ち会ったお産は数百人に及び、母子保健奨励賞という立派な賞をいただいたこともございます。小さい頃は、夜勤で母がいないことを寂しく思ったものでしたが、情熱を持って仕事をする母の後ろ姿は、私にとっても誇りであり、憧れでした。
例文4
身近な方はご存じの通り、父は絵に描いたような昭和の頑固ジジイでした。みなさんにはご迷惑をおかけしたこともあったと思いますが、こうして今は子どものように穏やかな顔で眠っておりますので、何卒ご容赦いただければと思います。
先ほど、元同僚の方や友人の方から父とのエピソードを伺い、意外に繊細な一面もあったのだと知って、実は非常に驚いております。家族の前では、いつも理想の男でいたかったのかもしれません。実際に、私にとっては怖いけれど憧れでもある父親でした。
※エピソード部分はなくてもかまいません。ボリュームは、長すぎなければ自由です。ただし、長くても、全体で3分程度に納めるようにしましょう。
結びの言葉
例文1
父のいない家は寂しい限りですが、今の父の安らかな顔を眺めますと、長い治療から解放されてほっとしているようにも思えます。最後まで弱音を吐かず頑張った父を讃えたいと思います。みなさんも、どうか父の顔を見てお別れしてください。
本日は、誠にありがとうございました。
例文2
みなさんに見送っていただき、母も喜んでいると思います。
生前母にしてくださったように、今後とも、私たち家族と変わらぬお付き合いをよろしくお願いいたします。本日は誠にありがとうございました。
例文3
父がこのように充実した人生を全うできたのも、皆さまのおかげです。故人に代わりまして、心からお礼を申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
例文4
まだ信じられぬ思いではおりますが、きっと母が見守っていてくれると信じ、残った家族で支え合って参ります。
本日は、お忙しいところご会葬賜り、誠にありがとうございました。
緊張しないコツ、失敗しないコツ
とにかくゆっくり話す
緊張すると早く終わらせたくて早口になり、早口になるとミスしやすくなります。
喪主のあいさつはゆっくりの方が場の雰囲気に合っています。
意図してゆっくり話しましょう。
カンペを持参して読み上げる
緊張してしまう方は、メモを持って読み上げてもかまいません。
そうする方は多いです。失礼でもおかしくもありませんよ!
下を向きっぱなしでもいい
メモに静かに目を落とし、そのままの姿勢で読むだけなら、参列者が視界に入らないので緊張しにくくなります。最後のお礼とお辞儀の時だけ顔を上げましょう。葬儀ですから、うつむいていてもおかしくはありません。
深々と印象深いお辞儀をして伝える
話すのがどうしても苦手な方は、下のような短い挨拶にしてしまいましょう。
それでは尺が足りなくて変な印象にならないか心配な方は、無言で、ゆっくりと深いお辞儀をするのがおすすめです。
腰から折って頭を下げたら、下げきったところで2〜3秒停止です。ペコッとしたお辞儀ではなく、人生で一番長くゆっくりしたお辞儀をするつもりで。
左右、そして中央にお辞儀。これだけで、心のこもった感謝を伝えることができます。もしかしたら、言葉以上に伝わるかもしれない、美しくしめやかな所作です。
喪主挨拶の例
「遺族を代表し、ご挨拶させていただきます。長男の太郎です。
本日はお忙しい中、父、二郎の葬儀にご会葬いただき、誠にありがとうございます。
父は、去る2023年10月10日、80歳にて、永眠いたしました。
仕事を退職した後も何かと気にかけてくださった株式会社○○のみなさん、父の趣味だった登山の仲間のみなさん。長い間、ひとかたならぬご厚情を賜りました。父に代わり御礼申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。」
どうしても苦手で挨拶したくない場合は、人に頼んでもいい
他の方にお願いできるようであれば、してもかまいません。
喪主は葬儀の主催者なので、できれば感謝を述べるのが理想ですが、心労により人前で話せるような状態ではなかったり、単に人前に出るのは苦手だからという理由で代わってもらう例はあります。
故人と仲が良かった叔父さんや叔母さん、親戚の年長者、場慣れしているご兄弟などがいらしたら、思い切って頼んでしまえば、楽になります。
「なぜ喪主がしないの?ヒソヒソ……」なんて声も私は聞いたことがありません。緊張で震えてしまう方はとっても多いです。恥ずかしくありませんよ。
家族葬の場合は、挨拶を省略してもかまいません
家族葬の場合は、喪主の挨拶自体を省略する方も多いです。
本当に近い親族だけの葬儀なら、改まって感謝の口上を述べられると他人行儀にも感じられます。
家族なんですから、見送る時に「今日は本当にありがとうね」「また連絡するね」と手を取り合うだけで十分でしょう。
少し気を使いたい親族には、個別に「本日はご会葬くださり、ありがとうございました。父も喜んでいることと思います」と挨拶されればいいと思います。
司会進行は葬儀社のスタッフが行いますので、挨拶を省略しても特に問題はありません。
この記事を監修した葬儀のプロよりコメント
喪主の挨拶
うまくやろうと考えないで
盛り上げたりうまく喋る必要はありません。
悲しみに途中で声を詰まらせる方は多いですし、スラスラとうまく話せないのは自然なことです。挨拶の内容は、一度書き出して読んでみると長さもわかりますし練習になります。内容が心配でしたら、スタッフに相談いただいてもかまいません。
早稲田大学大学院にて研究。大学卒業後、業界最大手企業へ入社。ライフエンディング領域における多岐にわたる業務に従事し、幅広い分野を経験。仏教葬祭アドバイザー、消費生活アドバイザー、ファイナンシャルプランナー2級、高齢社会エキスパートの資格を取得。横浜葬儀社の事業責任者として、専門的なアドバイスとサポートを提供し、故人様とその家族様にとって安心した葬儀サービスを提供することに全力を注ぐ。